言語転移が 英語学習に与える影響 - TOP


この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。


言語転移が 英語学習に与える影響


日本人が英語を第二言語を 学習する際、母語である 日本語の知識が、学習に影響を与えますが、これを言語転移といいます。
そしてこの母語干渉は、母語と 学習する言語の距離が大きいと 負の転移が 起きやすくなる。 日本人にとって 英語の習得が困難な理由は、🔗 言語間距離 (Linguistic Distance)が大きいため、母語による 負の転移が 無自覚の間に生じていることが 大きな要因となります。


そして、英語学習では、無自覚のうちに生じている 負の転移を、自覚的な学習により ニュートラルな状態に、戻す学習作業が 必要です。 日本語を母語にすることにより生じる 代表的な 負の転移は、英語を ローマ字のまま発音する カタカナ英語 の発音法でしょう。


英語は音韻論上 強勢拍リズムにあたります。 一方、日本語音声の基本となる ローマ字は、各音節の長さ等しく、平坦なリズムが作られ音節拍リズムである。 そして 日本人は英語を話す際 ローマ字(日本語)のリズムを採択してしまうのです。 この転移に無自覚のうちに生じるため、英語の音声による 英語学習を行っても、負の転移に対する自覚がないため、影響改善には なかなかつながらない。 これを解決するには、音素や 音節の知識を用いて、段階的に 発音を最適化し、脳の長期記憶にある 音記憶を "差し替え変更" する必要があります。


また、発音に留まらず、負の転移は 文法(例: a と the など 冠詞の使い間違え、過去形と現在完了形の使い間違え)など、日本語にないルールや、日本語の文法と 異なる部分に現れやすい。 ただ、学校で習う 英語の授業では、その指導内容が 統語論・形態論という 文法規則が中心であり、意味論に当たる "表現上の負の転移" に言及する機会がほとんどない。 そのため、自発的かつ 実践的な 英会話学習を始めてから、初めて 負の転移 という 大きな壁の存在に気付く 英語学習者の方も、多いようです。


一方、日本人にとっての 正の転移は 外来語(カタカナ)として 定着している言葉は、英語の意味が覚えやすい。 (例: Lemon - Melon - Banana は カタカナと同じ意味なので、暗記の労力 を省略することができます。)この点は、子供英会話の単語学習で、大いに応用することが出来ます。


また、一般的に、英語を日本語に翻訳する際は、意訳 した方が 日本人にとって 自然で理解しやすい訳文になりますが、直訳調でも 情報の伝達という点において 遜色のない文章には、正の転移により、暗記しやすいのです。 (例: 満点を取った = Got a Full Point のように、全ての漢字を 英単語に置き換えられるものは、覚えやすい)


生徒さまの間違えの多くは、日本語の負の転移によるものであり、私たち 日本人はこの "負の転移" を 共有していると考えましょう。


まとめ

- 日本語による 言語転移には、正の転移と 負の転移があることを 意識して、その影響を 軽減、或いは有効活用するようにしましょう。

- 発音の習得では、日本語による 正の転移は ほとんど見られないため、音の最小単位である 音素からの見直しが必要になります。


関連する項目

トップダウン処理による 英語の音声聴解 (Top-down Listening)
フォニックス (Phonics)
言語間距離 (Linguistic Distance)
母語干渉 (First Language Interference)
認知言語学 (Cognitive Linguistics)
アンラーニング(学習棄却) (Unlearning)

英会話 個人レッスンへ