メンタル・レキシコン - TOP


この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。


メンタルレキシコン(心的辞書)の概念を知り、英会話で応用する

言語学の世界では メンタルレキシコンという言葉がよく使用されます。 レキシコン(Lexcon) は 辞書や、特定の分野の語彙を指す英単語であり、メンタルレキシコンは その人のの脳内に記憶された語に関する知識の総体を指します。
学校で習う英語の授業では、単語テストにより メンタルレキシコンにある 語彙の量を推測し、その知識を採点し、スコア化することができます。 一方 英会話では 語彙の獲得法や、処理法 にスポットを当て、どうすれば より多くの英単語を暗記できるか、どうすれば 単語を瞬時に想起できるようになるのか、そしてどうすれば 未知語や 不知単語の意味を推定する能力を伸ばせるかまでを踏まえながら、メンタルレキシコンを構築し、成長させていくかが大きな課題となります。
  この点を重視せずに、アルファベット順で単語を暗記し、単語帳の周回を繰り返しても、実際に英会話で使える 単語は増えない。 そのため、学校の英語試験対策と、英会話向けの学習方略の違いを明白に定義する必要があると思います。


新出単語は、類義語や反対語と関連付けることで、記憶が定着しやすくなる


英会話では、学校の英語授業以上に 単語の記憶量が重要となりますし、多様な英単語をランダムな順番で覚えていくため、一度記憶した言葉を、忘却や 意味の勘違いがが起こりにくいよう、整理をし、ネットワーク化していくのが、MPE の考える ボキャブラリー・ビルドアップ方略です。 ここでは メンタル・レキシコンの構築法として、新出単語の覚え方について 説明したいと思います。


例えば Beneath という 新出単語を覚える時は、類義語である Under や Below (in or to a lower place) を思い出して 覚えます。 そして この3つの単語が 置き換え可能(interchangeable)かどうかを考えます。 すると beneath はややフォーマルな響きのある単語であることに気付きます。
このように 複数の単語を比較したり 意味的な紐づけなど メンタルな作業をしていると、ふと普段使わない Underneath という単語を思い出し、Under - Beneath - Underneath には "covered or hidden by something" のニュアンスがあることに気付きます。 そして 英英辞典を開いてみると Under - Below には "Lower in number" の意味があるので、ローコンテクストなやりとりが基本となる Under - Below はビジネス英語で 使いやすい。 その一方 Beneath や Underneath は 修辞法の観点から用法を考えていきたいと、考えるようになります。


このように 何らかの関連する複数の単語をクラスター化 (グルーピング)することにより、単語の想起がより早く、より確実になるばかりでなく、学習者のメンタルレキシコン内に定着化する確率も高くなると思われます。
英会話学習では 単語の暗記学習が重要な課題となりますが、語彙書類が効率的に機能するための構造をメンタル・レキシコンに持たせなければ、英会話は上達しない。 時間的制限がある英会話は 潜在意識で操作するものですから、まず 顕在意識を用いて単語をグルーピングする。 その作業過程の中で 色々な気づきを得ることが、意味記憶を無自覚のうちに手続き記憶に昇華させているのではないかと思います。


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