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この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。


意味記憶を理解し、英語学習に取り入れる


英語学習は、英文法の知識の習得や、英語音声教材を用いた リスニング学習など、様々なの学習要素を取り入れていると思いますが、ほとんどの方の 学習の7割以上は、単語学習が占めているといると思います。
英単語の暗記に関しては、恐らく 高校卒業程度(英検2級)程度の単語であれば、単語集もたくさん市販されているので、効率的に 暗記勉強を 重ね、意味記憶を増やし、定着化することができると思います。

意味記憶とは、深い意味まで覚えることなく 単語と綴りを 対連合で記憶する 丸暗記のことを指し、多くの場合 反復学習により、獲得した意味記憶は 長期記憶に定着するようになる。 英単語や公式など、左脳を使った記憶とも言い換えられます。

英語教育改革がすすみ、"丸暗記のいらない、英語の本質" に迫る 学習方略が 必要と言われています。 その一方、日本人は 知っている単語が 少なすぎるとも 言えます。 英検 1級保持者は 約12,000の単語を知っていると言われますが、アメリカの大学卒の人の 語彙サイズは 約70,000語と 言われます。

MPE の英会話 個人レッスンでは、少ない 単語知識をカバーするための、英語操作の 方法も 教えていますが、英語力の基準として、"英英辞典をストレスを感じずに使える" 、そして "CNN ニュースや FOX ニュースなど 英語母語話者を対象として 報道ニュースを読解できる" というレベルを目指す方は、常に 語彙力不足を感じていることと思います。
言い記憶としての語彙サイズを拡張することに 王道はありません。 単語帳を作っている人と、そうでない方では、知識に差が出る。 費やした 時間が 成果となって 現れやすいのが、単語の暗記学習です。

ただ、実用的な 英語操作能力を 目指す方は、適切な 語彙学習方略を立てることが 不可欠であると思います。
特に 英検準一級レベルの 単語は、覚えるのに苦労しても、日常生活では 使用する機会の少ない単語が多く、忘却しやすい。 また、難解な単語ほど、英英辞典で 意味を確認しないと、使いこなすことが難しくなる。 さらに、発音記号と照合する 学習過程を取り入れないと、全て カタカナ発音で 覚えてしまう 可能性もあります。

子供時代は丸暗記を得意とする 意味記憶 の能力が発達しているため 苦にならないことも多いのですが、成人になるにつれ その能力は衰退します。 これは 仕方のないことです。 ただ、記憶法に 工夫を凝らし、習慣化することにより、暗記学習の 心的負担を減らすことは可能であると思います。

意味記憶は 単に 単語と綴りを 見比べて 暗記するよりも、"運動" により、脳の海馬が活性され、長期記憶化が促進されるという 研究レポートも 多数発表されています。 例えば、英単語の書き取りのように 微細運動神経を 活用した 地道な学習法も、決して無駄にはならないと思います。

参考: 🔗 短時間の運動で記憶力が高まる―ヒトの海馬が関連する機能の働きが 10 分間の中強度運動で向上! - 国立大学法人 筑波大学

また、情動刺激により ノルアドレナリンを増加させる効果を 活用した 学習法にも 多くの学者が 注目しています。

参考: 🔗 情動を伴う出来事はなぜよく覚えていられるのか? - MSD生命科学財団

実践的な英会話で 用いるのは、意味記憶でなく、手続き記憶が 中心ですが、まず、意味記憶を重ね、語彙サイズを増強し、語彙知識の 幅と 深さ を追求する学習を 定期的に 行なっている学習者の方が、英会話の分野でも 確実に 上達していきます。


ヒント

ヒトの集中力のピークは 43才。 情報処理速度は高校3年生(大学受験時期)が最も速く、20歳を超えると急激に下降します。

短期記憶(ワーキング・メモリ)は30才位が ピークであり、推測能力は50代頃が最も優れていると言われます。

これらの 年令に関する一般論を 英会話 個人レッスンに 反映させてみましょう。


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