* この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。
強勢拍リズム - 英語の音声的特徴を知る
日本人は英語の聞き取りが苦手であると 言われますが、これは 日本語という 平坦なリズムの言語に 無意識のうちに同期してしまうため、英語の、"リズム" が 聞こえていないのだと思います。 特に初心者の方は 英単語をカタカナ発音で覚えているため、聞いた音声情報をそのまま保存するための 内語反復が活発化しないため、聞いた英語の音をすぐに忘れてしまうのです。
"リズムが聞き取れない" という表現は、少々奇妙に聞えるかも知れませんが、ダンスを習得する際、腕なのの上半身は リズムに合わせて動かせても、脚・ステップなど 下半身の動きが入ると、"踊れていない" 状態になってしまうのと同じと、形容できるでしょう。 そして、本人は、音楽のリズムに 合わせて身体が動いていないこと、模倣もできていないことを、自覚していないことも多いものです。
英語のリズム(韻律)は、"音節が 伸び縮み" する 強勢拍リズムであり、音の "強弱" を伴う点が特徴です。 そして、日本語は、音節が "等時的単位" となる、音節拍リズムであり、発話の抑揚は、"高低" により、表現します。
まず、私たち日本人は、言語のリズムについて、学校でほとんど教わっていない。 そのため 音の強弱による"強弱アクセント" 、音の高低による "高低アクセント" について、理解し、説明できる方は、少ないと思います。 また "強弱" と ”高低" の違いを、直感的に "聞き取れない" ことから、英語音声の 聞き取り・発音の 課題が発生しているのです。
日本人の 発音学習における重要な課題として、韻律的側面、特に 音節 の 強弱と長短の 体得が、挙げられます。 ただ、日本語が 子音+母音(CV = 開音節) の規則的な音節を有するため、英語の 8割以上を占める 子音 + 母音 + 子音 (CVC = 閉音節)のリズムが 掴めないのです。 例えば、 動物の 象 = Elephant は、日本語では、エ・レ・ファ・ン・ト の5音節ですが、英語では el-e-phant 3音節です。 これは、極端な言い方をすれば、3拍子のメロディーを、5拍子に変えて 発音し、旋律をくずしているような、リズムの取り方なのです。
日本人の英語の発音上の問題は、まず 英語を 音節の数を 数えられないため、正しい音節区切りが できない点に あると言われます。 音声構造の分析の一歩として、発音記号の 音節の区切りを確認し、強勢の置かれる音節(例 Elepahnt の El)や、閉音節 (例 Elephant の phant)を発音してみましょう。 そして、El の1音節(2文字)の方が、phant 1音節(4文字)よりも、発音時間が長いことに、気が付くことが 大切であると思います。
まとめ
- 英語の音節(旋律)が 聞き取れないのでなく、韻律(リズム)が聞き取れていないという自覚を持ちましょう。
- 英語の強勢拍リズム と、日本語の 等時的な 音節拍リズム(モーラ拍リズム)の違いを、説明できるようにしましょう。
- 英単語を、音節の集合として捉え、発音する習慣を持ちましょう。
関連する項目
音声知覚の運動理論(モーターセオリー / The Motor Theory of Speech Perception)モーラ拍リズム (Mora-timed Language)
英語の強弱、日本語の高低 (Stress- and syllable-timed Languages)
音節 (syllable)
音素 (phoneme)
発音記号 (phonetic symbol)